■1年の世相を表す「歳の印」、コロナ禍の今年のテーマは……?
全国印章業経営者協会(略称:JS 会/代表幹事:小林彰男)は、1年を振りかえって一番印象の深かった出来事をハンコに彫刻する『歳の印』の製作を今年もスタートしました。
夏に東京オリンピック、パラリンピックが開かれる予定だった2020年。『歳の印』の制作チームも年初からスポーツに関連したモチーフを考えてワクワクしていましたが、2月以降はコロナ禍による暗いムードになってしまいました。そのような中で、今年はどんな「歳の印」が彫りあがるか、ご期待ください。
完成した作品は12 月9 日(水)、公式サイトで発表いたします。
■『 歳の印 』とは ~ ハンコは便利で楽しい日本の文化です
年末が近づくと、「1年の世相を表す○○」、という様々な取り組みがおこなわれますが、 『歳の印』は日本の文化である印章(ハンコ)で世 相を表現するものです。しかも、一流のハンコ職人が風格を与えた表現で製作し、毎年発表することで『歳の印』がその年のシンボルマークの ように記憶されることを願っています。数年後にこの印影(ハンコを捺したもの)を振り返ったとき、「そうそう、これって 2020 年だった」「あの年 の絵柄はコレだったよね」と話題にして頂けるようになれば幸いです。過去の「歳の印」は以下のとおりです。
■ハンコって名前じゃなくていいんです
現代でこそ、ハンコは名前や社名を彫ることに限定されているように思われていますが、実はそうではありません。江戸時代までは、動物の絵柄や紋章、飾り枠などの装飾を施した自由なハンコが世の中にたくさんありました。
例えば、日本に印章の使用を広めたとされる織田信長のハンコには「織田信長」という名前は彫られていません。そこには、龍の絵柄と共に、 彼が掲げた政策である「天下布武」という言葉が彫られています(下図参照)。同じく戦国武将の武田信玄や信玄のライバルと呼ばれた上杉 謙信も同様です。戦国武将をはじめ昔の権力者や文人などは、絵柄や吉語、座右の銘、呪文などを彫ったハンコを使っていたのです。彼らに とっては、それが自分らしいシンボルマークであり、アイデンティティの表現だったのでしょう。周囲も、そのハンコの図柄を見て、それを捺したの が誰かさえ分かれば名前である必要はなかったのです。
その後、明治4年(1871)に明治政府が現在の印鑑登録制度の根拠と なる「太政官布告」を発布し、一般市民にまで広く印鑑制度が広まり、昭和 時代に入って大企業でのビジネスユースが増えるに従って、その機能や合理性 から、「ハンコは名前を彫るもの」という常識が定着したと考えられています。
■ユニークなハンコが許される条件とは?
つまり、絵柄や好きな言葉などを彫ったハンコを使うことはタブーではないのです。書類を渡す相手との関係性さえ許せば、ユニークなハンコを 使っても構いません。例えば、町内の回覧板、オフィスの社内文書、生徒会の通信文書などで遊び心のあるハンコを使ってみてはどうでしょう?
実際に、ゆるキャラや美少女キャラ、愛車のイラストなどを彫ったユニークなハンコが近年発売されています。そういった遊び心や自分の趣味を 反映したハンコを作って楽しんで欲しい、そのために「名前以外のハンコはダメ」という固定概念を破りたい、という思いで 『歳の印』を製作しました。
皆さんも「ハンコは名前を彫るだけ」「仕事で使うだけの堅苦しいもの」と考えずに、自分のシンボルマークとして楽しんで使ってみて下さい。
『 全国印章業経営者協会(JS会) 』
~ 社会にとってより良い印章制度とハンコ文化の継続に取り組みます ~
全国印章業経営者協会〔略称:JS会〕は、印章業経営の質を高め、業界と社会への貢献を目的とする団体です。
印章業に携わる企業としての立場から印章類(印章、ゴム印、浸透印、スタンプ)などの流通、販売サービス、商品開発の向上に取り組むとともに、 社会インフラとしての印章制度をより安全により便利に継続していくこと、社会の皆様により身近でより楽しい印章文化を提供することを目指して います。
コンピュータ技術が社会インフラと印章製造の両面で普及した現在、印章とそれに携わる業界は大きな変化の波にさらされています。捺印機 会の減少、偽造印犯罪、信頼性を欠いたネット販売、業界のボーダレス化……。さらに新世紀は心の時代とも言われ、顧客や従業員への対応、 地域社会への貢献など、物心両面の経営視点が求められます。
当会は、そういった最先端の課題に取り組むと共に、同業者同志の親交を深め、経営者の立場で各種の事業に取り組むコミュニティです。 2017 年、当会は創立 40 周年の節目を迎え、これを期として日本の文化である「ハンコ」を社会の皆様にもっと知ってほしい、楽しんで使って もらいたいという思いから、その年々の世相を毎年ハンコで表現する『歳の印』の取り組みをスタートしました。
今後も、社会の皆様にとって、より良い印章文化、印章制度が続くよう努力して参りますので、ご支援ご協力賜りますようお願い申し上げます。
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