今年は「日本の元号 248、ぜんぶ彫ります!!」
全国印章業経営者協会(略称:JS 会/代表幹事:小林彰男)は、1年を振りかえって一番印象の深かった出来事をハンコに彫刻する『歳の印』の製作を今年もスタートしました。
2019 年の『歳の印』のモチーフは、「日本の元号・大化から令和まで」です。
今年 5 月 1 日、新天皇陛下(徳仁さま)が即位され、同日午前0時に日本の元号は「平成」から「令和」に替りました。「令和」は、現 存する日本最古の歌集である「万葉集」を由来とする、248 番目の元号となります。日本で初めて元号が制定されたのは 645 年の「大化」ですが、 そのとき「日本」という国の呼び名が決まったとも言われています。また、現代で西暦以外にその国独自の元号を使用しているのは、日本だけだ そうです。すなわち「元号」は、まさに日本の歴史と文化そのものと言えるでしょう。
そこで、令和元年となった 2019 年の『歳の印』は、大化から令和までの248すべての元号をモチーフにすることに決定しました。それを、 高度な技術を持ったハンコ職人が約 2カ月の製作期間で彫りあげ、完成した作品を12 月10 日(火)、公式サイトで発表いたします。
■9㎝の中に506文字を彫る神ワザを動画で紹介
「大化」から「令和」まで、248すべての元号を文字数にすると、506 文字。漢字の種類は 73 文字あります。
それらを 9 ㎝の角印に彫刻すると、1 文字はミクロサイズ。おそらく、完成した作品を肉眼で見ても、1 文字 1 文字 を読むことはできないほどになるでしょう。これほど小さな文字を 506 文字もハンコとして彫刻するのは、これまでのハンコ業界でも例がないかもし れないほど、難しい挑戦です。ミクロレベルで精密に彫刻する高度な技術が欠かせないのはもちろん、失敗のゆるされない作業を長期間にわたっ ておこなう精神力も必要となります。
今回、普通のハンコ職人が尻込みするこの作業に挑戦したのは、東京都のハンコ職人、堀松高志さん(39)。国による一級印章彫刻技能 士の資格を持ち、ハンコ職人の腕前を競う「大印展」(第 67 回 2019 年)の角印・印篆の部で金賞を受賞するなど、若手ながら熟達した能 力を持つハンコ職人です。精密さだけでなく、1300 年以上続く日本の元号の品格を表現していただけるような作品をお願いしました。
◎堀松さんが神ワザで「歳の印」を製作する動画はこちら→ YouTube http://j.mp/2PSF1Rs
■「歳の印」は1年の世相を表すハンコです
年末が近づくと、「1年の世相を表す○○」、という様々な取り組みがおこなわれますが、 『歳の印』は日本の文化である印章(ハンコ)で世 相を表現するものです。しかも、一流のハンコ職人が風格を与えた表現で製作し、毎年発表することで『歳の印』がその年のシンボルマークの ように記憶されることを願っています。数年後にこの印影(ハンコを捺したもの)を振り返ったとき、「そうそう、これって 2019 年だった」「あの年 の絵柄はコレだったよね」と話題にして頂けるようになれば幸いです。
そもそもハンコ(印章)は古来、墨などで書くものと違って石や金属に「刻む」ことで永く保存され、次の時代に歴史を伝える役割を果たしてきました。 『歳の印』も、後世に何を伝えるべきか、何を刻むべきかを考えてモチーフを選んでいます。単にその年に起こったセンセーショナルなニュースや 流行を取り上げるのではなく、日本人として忘れてはならないこと、後世に伝えるべき大切な心を刻みたいと考え、今年は「元号」をテーマとしました。
『 歳の印 』とは ~ ハンコは便利で楽しい日本の文化です
『歳の印』は、日本の文化である「ハンコ」を社会の皆様にもっと知ってほしい、楽しんで使ってもらいたいという思いから全国印章業経営者 協会が2017年からスタートしたプロジェクトです。 年末が近づくと、「1年の世相を表す○○」、という様々な取り組みがおこなわれますが、 『歳の印』は 日本の文化である印章(ハンコ)で世 相を表現します。しかも、一流のハンコ職人が風格を与えた表現で製作し、毎年発表することで『歳の印』がその年のシンボルマークのように 記憶されることを願っています。数年後にこの印影(ハンコを捺したもの)を振り返ったとき、「そうそう、これって 2019 年だった」「あの年の絵 柄はコレだったよね」と話題にして頂けるようになれば幸いです。過去2年の「歳の印」は以下のとおりです。
■ハンコって名前じゃなくていいんです
現代でこそ、ハンコは名前や社名を彫ることに限定されているように思われていますが、実はそうではありません。江戸時代までは、動物の絵 柄や紋章、飾り枠などの装飾を施した自由なハンコが世の中にたくさんありました。
例えば、日本に印章の使用を広めたとされる織田信長のハンコには「織田信長」という名前は彫られていません。そこには、龍の絵柄と共に、 彼が掲げた政策である「天下布武」という言葉が彫られています(下図参照)。同じく戦国武将の武田信玄や信玄のライバルと呼ばれた上杉 謙信も同様です。戦国武将をはじめ昔の権力者や文人などは、絵柄や吉語、座右の銘、呪文などを彫ったハンコを使っていたのです。彼らに とっては、それが自分らしいシンボルマークであり、アイデンティティの表現だったのでしょう。周囲も、そのハンコの図柄を見て、それを捺したの が誰かさえ分かれば名前である必要はなかったのです。
その後、明治4年(1871)に明治政府が現在の印鑑登録制度の根拠と なる「太政官布告」を発布し、一般市民にまで広く印鑑制度が広まり、昭和 時代に入って大企業でのビジネスユースが増えるに従って、その機能や合理性 から、「ハンコは名前を彫るもの」という常識が定着したと考えられています。
■ユニークなハンコが許される条件とは?
つまり、絵柄や好きな言葉などを彫ったハンコを使うことはタブーではないのです。書類を渡す相手との関係性さえ許せば、ユニークなハンコを 使っても構いません。例えば、町内の回覧板、オフィスの社内文書、生徒会の通信文書などで遊び心のあるハンコを使ってみてはどうでしょう?
実際に、ゆるキャラや美少女キャラ、愛車のイラストなどを彫ったユニークなハンコが近年発売されています。そういった遊び心や自分の趣味を 反映したハンコを作って楽しんで欲しい、そのために「名前以外のハンコはダメ」という固定概念を破りたい、という思いで 『歳の印』を製作しました。 もちろん、「歳の印」を作ったのは日本を代表する一流のハンコ職人ですから、これほど高いレベルの技術で作られたハンコを一般に使用する ことはありません。この彫刻技術はハンコ職人の中でも熟練を積んだ達人でなければ彫ることができない高度な技術で彫られています。ただし、 ちょっとしたイラストやアイコニックなマークをハンコに彫ることは、街のハンコ屋さんならお手の物です。
皆さんも「ハンコは名前を彫るだけ」「仕事で使うだけの堅苦しいもの」と考えずに、自分のシンボルマークとして楽しんで使ってみて下さい。
『 全国印章業経営者協会(JS会) 』
~ 社会にとってより良い印章制度とハンコ文化の継続に取り組みます ~
全国印章業経営者協会〔略称:JS会〕は、印章業経営の質を高め、業界と社会への貢献を目的とする団体です。 印章業に携わる企業としての立場から印章類(印章、ゴム印、浸透印、スタンプ)などの流通、販売サービス、商品開発の向上に取り組むとともに、 社会インフラとしての印章制度をより安全により便利に継続していくこと、社会の皆様により身近でより楽しい印章文化を提供することを目指して います。
コンピュータ技術が社会インフラと印章製造の両面で普及した現在、印章とそれに携わる業界は大きな変化の波にさらされています。捺印機 会の減少、偽造印犯罪、信頼性を欠いたネット販売、業界のボーダレス化……。さらに新世紀は心の時代とも言われ、顧客や従業員への対応、 地域社会への貢献など、物心両面の経営視点が求められます。
当会は、そういった最先端の課題に取り組むと共に、同業者同志の親交を深め、経営者の立場で各種の事業に取り組むコミュニティです。 2017 年、当会は創立 40 周年の節目を迎え、これを期として日本の文化である「ハンコ」を社会の皆様にもっと知ってほしい、楽しんで使って もらいたいという思いから、その年々の世相を毎年ハンコで表現する『歳の印』の取り組みをスタートしました。
今後も、社会の皆様にとって、より良い印章文化、印章制度が続くよう努力して参りますので、ご支援ご協力賜りますようお願い申し上げます。
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