今年は「日本の元号248、ぜんぶ彫りました!!」
■今年の世相は元号、せっかくなので最初からぜんぶ彫りました
今年の世相を表すハンコ、それが『歳の印』です。
2019年の今回は、「元号」。もうこれしか考えられません。
日本の歴史と文化そのものとも思える元号。
当然、歴代年号すべてが美しい漢字で成り立っています。
最初の大化から令和まで、全て合わせると248。文字数にして506文字。
あれ? 数が合わない? いえいえ、元号は全て2文字と思われがちですが、
実は途中に4文字の時代が5回あり、それによって506文字になるんです。
それを今年は9センチという、ハンコとしては規格外の巨大な印に、
若手を代表するスペシャリスト堀松さんが挑みました。
ところがこの前代未聞の試みは、苦難の連続だったようです。
■特大のハンコを彫るのは苦難の連続
普通のハンコは、5mm程度のものから大きくてもせいぜい3cm。
彫るのに使う道具もそれを想定して作られたものですから、
その3倍もある印材を支えるための篆刻台は存在しません。
そのため堀松さん自ら、篆刻台をも制作されました。
まさに道具作りから始まったわけです。また手彫りの場合、
一度正しい向きで書いた文字をひっくり返して転写するんですが、
これも前例のない大きさです。一度でもこの転写を行ったことが
あれば分かりますが、巨大なサイズの前印面に均等にムラなく
転写させるのは至難の技。そこも見どころの1つです。
簡単に転写しているように見えますが、度重なる練習と努力の
結果なのです。じゃあ、彫るのはプロだから簡単?
いやいや、常日頃2文字や4文字を彫っているのがハンコ職人です。
それが今回は506文字。例えるなら、短距離走者が見えない
ゴールに向かって全力で延々走り続けるようなもの。
同じ走るという競技でも性質が異なるように、
彫刻でも求められる筋力が異なります。
そんな全力疾走をし続けて約2ヶ月。時間にして210時間超。
いやはや頭が下がります。だってご自身の仕事以外の時間
(睡眠時間含む)を割いてですから。
■ハンコは捺すものです
ハンコに求められる最低限の条件とははなんでしょうか?
それは美しさでも細かさでもなく、綺麗に捺せることです。
逆にいえば、どんなに美しく彫れていても、どんなに細かく彫れていても、
綺麗に捺せなければそれはハンコではありません。ただの彫刻品です。
そのためハンコ職人はみな、捺した瞬間を常に意識して彫っていきます。
捺印という最終段階に向かってすべての技術を駆使するからこそ、
彫りっぱなしの機械彫りにはない、捺しやすさが生まれます。
捺印の際になんとなく感じられる柔らかさこそ、
手彫りの最大の特徴と言っても過言ではありません。
だからこそ動画ではぜひ、捺印の瞬間をご覧ください。
フィナーレはそこです。
判下製作から彫刻まで一貫して手掛けたのは堀松印房の堀松高志さん(39)。
印章彫刻一級技能士の国家資格を持ち、ハンコ職人の腕前を競う「大印展」
(第 67 回 2019 年)の角印・印篆の部で金賞を受賞、全国から職人が集まる
技能グランプリで受賞経験があるなど、若手ながら熟達した能力を持つ
ハンコ職人です。精密さだけでなく、1300 年以上続く日本の元号の品格を
表現していただけるような作品をお願いしました。
◎堀松さんが神ワザで「歳の印」を製作する動画を公開中です。
YouTube→ http://j.mp/2PSF1Rs
本件に関するお問い合わせはコチラへ。